黒い大地の地下深く
ふつふつと煮えたぎる
真っ赤なマグマのような
おどろおどろしい怒りの記憶が
私を焼き尽くそうとするとき

目の前のせせらぎが
一枚の小さな葉っぱを
その水面に乗せて
遠くへと流してゆく

頭の上に広がる大空が
一片のちぎれた綿雲を
その高みの風に乗せて
彼方へと流してゆく

私を焼き尽くそうとする
ふつふつと煮えたぎる
真っ赤な怒りの記憶も

この広い世界の中では
ちっぽけな私という存在を
一人分焼くのがせいぜいの
マッチ一本の火にすぎないから

せせらぎに乗る
一枚の葉のように
かぜに吹かれる
一片の綿雲のように

どこか遥か遠くへと
流れてゆく

ユラユラと
フラフラと
頼りなさげに
流れ去る

よく見れば
せせらぎは銀色に輝き
空はどこまでも青く澄んで

やがて黒い大地は
一面緑芽吹いて
瑞々しい緑の中に咲く
色とりどりの花が
微風に揺れているだけ

そこにはもう
マグマを生み出す
敵はいない

敵と呼ぶようなものは
どこにもいないのだ