ひどい目に
遭った人がいた

ひどい目に遭って
苦しんでいた

自分の苦しみを
誰もわかってくれないと
嘆いていた

そんな様子を見ると
私はふと思うことがある

 あなたは
 そのひどい目に
 遭う前には
 他者の苦しみを
 わかっていたのですか

実際に苦しんでいる人に
そんな酷な言葉を
投げかけることなど
できるはずもなく

人の苦しみとは
人それぞれで
単純に比較など
できるわけもなく

私はその言葉を
己の内に飲み込むのである

他者の苦しみは
頭で理解できても
本当に心の底から
共感することは
どこまでできるのだろう

共感が大事だと
巷ではよく言われるが
共感、共感、と
その言葉が乱発されると

人々の持つ共感の鏡は
知らず知らず曇ってゆく

理性と思考と想像力
そして言葉を以て
その鏡を磨き直す

それは頭にあるものを
心へと落とし込むこと

そうして
再び磨き上げた
共感の鏡は
前よりも
より輝きを増すだろう