満月のように
白い猫が一匹
夜空のような
漆黒の道を歩いてゆく
その道は遠く
そして深い記憶の道
その道行きで白猫は
一体何を照らし出すだろうか
懐かしいものか
それとも
恐ろしいものか
私の期待と恐れに
頓着するような素振りは
全く見せずに
白猫は己の道を歩き続ける
暗い冥い過去へと
ただ坦々と
独り歩いてゆく
その先に
白猫の安住の地は
あるのだろうか
そこはまた
私の心が安らぐところ
なのだろうか
輝く満月の如き
白い猫の後を
追いかけたい思いに
駆られたが
その一歩を
踏み出せなかった
私はまだ
その勇気に欠ける者
だったのである