言葉が空を飛んでゆく
ひらひらと
極薄の翅をはためかせる
カゲロウのように
ゆらゆらと
陽光のたゆたう空を
昇ってゆく

あまりの薄さと軽さに
ちょっとした風にも
吹き飛ばされてしまう
カゲロウの如き言葉を
不憫に思って

言葉を文書に写して
朝霧の黄金色に輝く中を
空へと舞いゆく羽毛のような
あえかなカゲロウの如き
儚さの呪縛より解き放っても

たとえ何かに記された
言葉であってもなお
雨風に打ち砕かれて
散り散りとなって
消え去ってしまう宿命からは
逃れられない

雑多に散らばった
数多の言葉の欠片が
中空を風に流れてゆき
永い永い時の鎖の内に
ほんの微かな偶然により
そこから新たな結晶が
立ち現れてくる

それはすでに消え失せた
過去の言葉の転生
新たな意味の付与
新たな精神の顕現
未来の生命の発露

そこからまた
まだ見ぬ美と価値が生まれいで
淡く透き通りながらも
七色に輝く翅をひらめかせ
黄金色の陽光を友として
遥かなる高みへと昇りゆく

言葉が空を飛んでゆく
ひらひらと
至高の寿ぎを目指して
陽光のたゆたう空を
昇ってゆく