この街の至る所で
杭が打たれてゆく
時の錘を担わされ
時の鉋に削られて
惨めに痩せ衰えて
主を失った家々が
昨日も一軒
今日も一軒と
重機の鋼鉄の爪で
打ち壊されてゆく
次々と更地と化して
無惨な土が露見した
この街の一角に
杭が打たれてゆく
打ち込まれた杭は
その場所の所有と支配を
高らかに謳い上げ
かつてその場所に刻まれた
未来への眼差しの記憶は
無慈悲な杭によって
粉々に打ち砕かれ
乾いた風に散ってゆく
杭は境界を出現させる
杭は排除と制限を求める
杭は記号を上塗りする
杭は表情を剥離する
打ち込まれた杭が
己が冷酷さの軛から
解き放たれて
記憶の根や支柱となり
新たな時の枝葉を広げ
未来へと面を向ける花を
咲かせるには
どれほどの年月が
要るのだろう
この街の至る所で
打たれゆく杭はまだ
眠ったままだった