「それ」は
処分されました
世の中では常に
絶えず様々なものが
様々なところで
処分されています
処分とは
存在の消滅であり
未来の遮断であり
潜在的な可能性の削除
でもあり
価値の相対性であり
優先順位の陥落であり
内在していた価値の崩壊
でもあり
存続への期待の潰滅であり
存在への責任の滅尽であり
記憶の存続への通路の断滅
でもある
処分されるものは名前を剥奪され
「私」でも「あなた」でもなくなり
「彼」でも「彼女」でもなくなり
「者」でも「実存」でもなくなり
ただ単なる指示代名詞である
固有の名のない「それ」と化すのです
それ故に
「それ」は
処分されました
一片の情も入らぬほど
冷徹な視線のもと
「それ」として
処分されてしまったのです