小さな石を
無数に積み上げた
柱が立っている

細かく砕けてしまった
砕かれてしまった石を集めて
遠い古代の民が積み上げた
さほど高くはない柱であった

そこから少し離れたところに
巨石が立っていた

いつ立てられたのか
いかにして立てられたのか
誰も知らなかった

巨石は堂々たるものであった
見上げるものを圧倒し
畏怖させるに足るものであった

巨石には夢があった
遥か遠い遠い未来にまでも
届くほどの大きな夢であった

小さな石の柱にも夢はあった
でもそれは小さな夢の集まりで
とても遠いところまでは
届くものではなかった

それでも石は
夢に優劣の差をつけなかった
夢はどんなものでも
決して儚い幻ではなく
現実の生の中で掛け換えのない
独自の役割を果たしていることを
知っていたからである

それ故に夢破れるとは
その夢がその時点で
己が役割を果たし終えたに過ぎず
そこから先はまた新たな夢が
新たな役割を果たすべく
待ち受けていることをも知っていた

それは人間どもの生よりも
遥かに長い悠久の時を経た
石の持つ智恵であった

遠い古代の民が
小さな石を積み上げて
柱を立てたのは
小さな夢が現実に果たす役割を
石から感取していたからであり
巨石の夢も小さな石の夢も
等価であることを朧げながらも
学んでいたからである

いまなお立ち続ける
小さな石の柱

夢の本当の役割を
無言の言葉で語り続けている