手を伸ばせば
届きそうな

ガラスの向こうに咲く
幸せの花
一輪

摘み取らなくてもいい
ただほんの少し
触れるだけ

そう願って
静かに手を伸ばしても
震える指先が
触れるのは
冷たい
ガラスのおもて

花のいのちに
触れられぬ指先は
ひび割れ

触れようと試みるたび
この指先に
鋭い痛みが走る

いつしか指先より
血が流れ出し

ガラスのおもてに
赤い痛みの花を
咲かせてしまう

その痛みを忘れてはならない
その花色を忘れてはならない

手を伸ばしても
決して触れることの叶わない
孤独に咲く幸せの花よ

おまえの唯一の伴侶は
冷たいガラスのおもてに咲いた
赤い痛みの花

いつの日か
冷たいガラスを融かすであろう
疼きを背負ういのちの証