一文字に閉じた
口の真ん中から穴が空いて
それが広がるように
口を開けると
目の前は広い街の通りで
数多の人々が歩いていたが
皆私のそばを
通り過ぎるだけだった
私の口から発した言葉
私が語る事柄は
誰の耳にも届かずに
なんとかして
聞いてもらっても
皆否決され
拒まれ
打ち捨てられた
私は止むなく口を閉じると
目の前に
地下へと伸びる階段が現れ
私はそれを降りていった
小さな灯りが点々と灯る階段
どこまでも延々と続き
いつまで経ってもどこにも
行き着くことがない
永遠に降下するかのような階段
やがて地下なのに
なぜか外の様子が見えてきた
豪雨に襲われる夜の街
庇からは滝の如く
水の壁が流れ落ち
歩道の端は川の如く
激怒した濁流が走りゆく
黒い空から墜ち来る雨は
風に煽られ龍の如く渦を巻き
天に還って闇を貫く雷と化し
閃光と轟音を持って
人々を惰眠より目覚めさせる
俯く者よ
蹲る者よ
伏する者よ
雷となれ
己の内に眠る
閃光と轟音を解き放ち
世の闇を貫き給え
己の命と魂が
許す限り