忘れえぬ花色紫蘭の花が散ってゆく初夏の陽のもと鮮やかに顕した高貴な色も実をつけたものも実をつけぬものもみな力尽き果て地に落ち風に飛ばされ朽ち果てる紫蘭よそれでも私はあなたを忘れない茹だる夏が訪れ秋の侘しさへと移りモノクロの冬へと凍りついても瞼の裏や記憶の襞に遺された鮮烈なる紫はずっと燃え続け我らを再会の日へと必ずや導いてくれるから私は決してあなたを忘れない