己に哀しむ者は
幸せだろうか

いつの日か
慰められるときを
迎えられるのだろうか

己の存在を呪うとき
己の無能を嘆くとき

己のために
死した命を想え

哀しむ己の
惨めさにさえ
犠牲となった
命があることを
思い出せ

己に泣くその涙を
見えないインクとして
命を詠え

消えていったものたちの
代弁者たれ

それが
己自身がもたらす
哀しみの命ずる
使命なのだ

暗闇に独り照る
月のように

見上げるものが
一人もいなくとも

厚い雲に阻まれて
朧に浮かぶことさえ
できなくとも

消えゆく命を
詠い続けよ

哀しみの詩の
しもべたれ

いつかその詩の内に
何ものにも代え難い
幸せを
見出すだろう