目の前の店の
シャッターが
今まさに
下ろされてゆきます

右隣りの店も
左隣りの店も
みな次々と
シャッターを
下ろしてゆくのです

閉じられた街
閉じられた国
閉じられた世界

売るものが少なくなった
のではありません
買う人が増えすぎたのです

売るものが少なくなった
のではありません
買いたいものが
増えすぎたのです

歴史が始まってから
私たちはずっと
負け続けてきました

ずっとずっと
己自身に
負け続けてきたのです

そうして今
この世界は
閉じられようとしています

私たちは
いつになったら
己自身に勝てるように
なるのでしょうか

世界が閉じられることなく
開かれる日は
訪れるのでしょうか

下ろされてしまった
灰色のシャッターの前に
立ち尽くして
私は答えを
探しているのです