重たい雪降る
侘しい街角
色褪せた夏の亡霊が
凍りついていた

夏の日差しを浴びた
弾けるような
笑顔を咲かせたまま
固まって動かない

あぁお前はなぜ
今もそんなところに
留まって
雪の街を見ているのか

清明なガラスのような
冬の寒さに憧れたのか
それとも誰かに
別れを告げに来たのか

いやそうではない
お前は寒さに凍える我らに
夏を忘れるなと
伝えに来たのだ

街に積もりゆく
この重たい雪が
この先永遠に
振り続けるように思えても

季節はめぐり
暗く冷たい冬も
いつか必ず
終りを迎えるから

我らの視界を
押しつぶすかの如く
無情に降り続ける
雪の中に在っても

決して夏の光を忘れるなと
己が魂を凍りつかせて
その色を失っても
夏の亡霊は伝えてくるのだ