「あの人には
 何か事情があるようだ」
「そうでしょうね
 事情のない人なんていませんから」

昔読んだ
何かの漫画の台詞である

人の行ないや
話されたり
記されたりした言葉
その裏に
どんな事情があるのか
そこから読み取るのは難しい

子供の頃
家庭での出来事について
あの頃は子供だったから
詳しいことはわからなかったと
そんな話を時々耳にするが

大人になった今でも
後になって
詳しい事情を聞かされて
もっと気を配ればよかったと
後悔することが
なくなってはいない

他者の言動や
遭遇する出来事の
裏側に潜む
苦しみや哀しみに対して
何かできるわけでは
ないけれど

世に
事情のない人など
いないのならば
せめてそれらに
鈍感でありたくはない
と思う