毎日のように

無を造っている男がいた

その男は

生きているにもかかわらず

存在しているにもかかわらず

日々せっせと

無を造り出していた

何故なら男は

無の中に生命を観て

生命の中に無を観たから

男の造り出す無は

風の中の一粒の静寂

波の中の一雫の凪

炎の中の一片の真空

だがそれは無であるが故に

誰の眼にも

誰の耳にも

届かなかった

それでも男は今でも

毎日のように

無を造り続けている

彼の存在は

無に支えられているのだから