虫の音が聞こえる
このつかの間の
平穏の中にさえ

不安を押し隠せない
私の貧しい心は

重い鉄の門扉が
閉ざされているような

決して埋まらない
深い穴が空いているような

自分ではどうにもできない
足枷を引きずっているようで

あの日放った
紙飛行機は
今でも何処かの空を
滑るように
飛んでいるのだろうか

夜に溢れる虫の声を
帆を脹らます風のように
その白い翼に受けとめて

どこまでも
どこまでも

この脚を引きずる
重い不安が
決して届かぬ
遠い
遠い
空の彼方へ

いつまでも
いつまでも
滑るように
飛び続けるだろうか

虫の声を運んでくる
夜の微風の裡に
あの日放った
紙飛行機の白い翼を
また再び
見出だしてみたい