何も言わないまま
通り過ぎる足音を
ただ聞いている
何も語らない
無言の背中を
ただ見送っている
通りすがりの
他人ではなく
別れの場面に
遭遇しているのでもなく
いつもそばにいて
共に生きている者の
声なき無言の仕草に
微かな空気の
震えを感じ取って
あるいはその
空気の粗密が描き出す
得も言われぬ波紋は
私の放つ憶測の
周波数かもしれないけれど
ただ
その響き合い
干渉し合う波紋の
紡ぎ出す
光も音もない感覚の
朧な縞模様が
今を生きて
生活しているこの瞬間を
空無の虚から
彫り出してゆく
その手触りを
確かに与えてくれている
そんな
何でもない日々の
珠玉がある