オックススタンダードメールマガジン 『 S T A N D A R D 』
http://www.ox-standard.co.jp/
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◆ 目 次 ◆
【1】 今号の一言 『石原慎太郎都知事の“一手”』
【2】 本文 『“実質”単独決算による倒産 - C&I Holdings -』
【3】 編集後記 『戦闘力』
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【1】 石原慎太郎都知事の“一手”
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石原慎太郎都知事の動きが活発だ。
国民新党を離党した亀井静香氏やたちあがれ日本の平沼代表ら
との新党構想について白紙に戻す一方で、
尖閣諸島を東京都で購入すべく地権者と交渉しているという。
橋本大阪市長に負けず劣らず、“元祖”剛腕政治家の面目躍如である。
尖閣諸島購入については、事前に橋本大阪市長には話してあったこと
からも、石原氏と橋本氏が密に連携して国政へ影響を及ぼすように
なるのは間違いないだろう。
しかし、とはいえ、石原慎太郎都知事の“一手”は見事であり、
国民の耳目を集め、国を動かすことに成功した。
言葉は適当ではないかもしれないが、“一石五鳥”ぐらいの効果はあった。
日本の誇るべき政治家であり、小説家である。
それでは、本文をお楽しみください。
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【2】 “実質”単独決算による倒産 - C&I Holdings -
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【報道概要】
2012年3月12日、元東証上場企業のC&I Holdings
(旧 ベンチャー・リンク)は、民事再生法の適用を申請した。
中堅企業向けに経営情報提供やフランチャイズ(FC)開発の支援を
行い、2003年には600億円の売上を計上していた。
しかし、サブプライム問題やリーマンショック後に、日本振興銀行と
業務提携を行い、当銀行の支援のもと事業再編を実施していたが、
銀行の破綻により、信用不安が生じていた。
2011年10月には債務超過等の影響から、監査法人から監査意見を
受領することができず、上場廃止となっていた。
---- アラーム管理システム(OX理論)の分析情報 ----
【会社概要】
社 名 株式会社C&I Holdings
市 場 東証2部
証券コード 9609
業 種 サービス業
従業員数 7人(連結128人)
所在地 東京都台東区寿一丁目5番10号
監査法人 三優監査法人(2010年12月期)
(2011年12月期の第2四半期レビューにおいて
監査意見を不表明)
【OX理論】
OX格付 CCC【3】(2008年12月連結決算)
OX格付 CCC【1】(2009年12月連結決算)
OX格付 CCC【-1】(2010年12月連結決算)
【分析表1・7】


http://www.ox-standard.co.jp/pdf2/120430/C&IHD201012_ren.pdf
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<OX理論(アラーム管理システム)とは>

http://www.ox-standard.co.jp/pdf2/oxanalysis.pdf
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---- 終了 ----
【倒産ニュース】
著名な企業や上場企業は倒産した際には、信用調査会社の倒産速報に目を通す。
C&I Holdingsについても同様に目を通した所、気になる記述があった。
「なお、民事再生を申請したのは当社1社で、過去に当社グループに属していた
(株)FCエデュケーション、(株)リンク・ソリューションなどの企業は
既に他社グループ下にあり、今回の民事再生による影響はないとしている。」
出典:東京商工リサーチ『倒産速報』
http://www.tsr-net.co.jp/news/flash/1217478_1588.html
旧子会社がC&I Holdingsグループと関係がないならば、
倒産の影響がないのは自明である。
それゆえ、そんなことを言う必要はない。
しかし、それをわざわざ言うことに違和感がある。
【子会社の存在】
2010年12月期の有価証券報告書には連結子会社
(持分法適用会社は除く)として下記が存在した。
<優良系>
(株)ベンチャー・リンク(現:インクグロウ)
(株)FCエデュケーション
(株)トレーニング・カンパニー
(株)リンク・ソリューション
<不振系>
(株)リンク・イノベーション
アルファシステム(株)
(株)VLコンサルティンググループ
Venture Link International,Inc.
この会社群の内、リンク・イノベーションは98億円の債務超過と記載されており、
ホームページも存在しない。おそらく、休眠会社だろう。
アルファシステムについては、解散決議を行い清算手続き中という。
VLコンサルティンググループとVenture Link International,Incについては、
ホームページこそ存在するが、営業活動しているように見えない。
この4社については、不振系子会社と言える。
しかし、それ以外の会社は、 “絶妙のタイミング”で
親会社から独立、もしくは第三者割当増資によって親会社の出資比率を
大幅に減らすことによって、親会社の倒産という難局を逃れることができた。
【時系列で見る親会社からの離脱】
下記は、倒産に至るまでの子会社の資本構成変更について、時系列で並べたものである。
2011年1月11日 リンク・ソリューションが第三者割当増資。
金額や第三者割当先はリリースされていないため、不明。
2011年2月28日 ベンチャー・リンク(現:インクグロウ)がMEBO※よってほぼ独立。
格安?の300万円で「社長・副社長・従業員」グループへ売却。
※ MEBO
「会社の経営陣と従業員が一体となり、買収対象企業の株式を買い取り、
その企業の経営権を掌握すること。M&Aの一種。」
出典:マネー用語辞典
http://m-words.jp/w/MEBO.html
2011年3月25日 トレーニング・カンパニーが第三者割当増資。
金額や第三者割当先はリリースされていないため、不明。
2011年7月19日 FCエデュケーションが第三者割当増資。
2億817万円の増資がなされた。
2011年10月3日 上場廃止
2012年3月12日 民事再生法申請
【考察】
下記は事実である。
・多数の子会社は、親会社の倒産する1年前後前から、
独立もしくは第三者割当増資を行った。
・子会社には、親会社の役員が兼務しているケースもあった。
・親会社から離脱した子会社は、翌期から黒字となっている企業も存在する。
・親会社から離脱した子会社の大半の所在地は、
C&I Holdingsと同じ東京都台東区寿一丁目5番10号である。
・倒産時期に近づけば近づくほどに、連結と単独の総資産額の差が少なくなる。
つまり、連結の資産はどんどん無くなっていた。
<総資産の推移> (単位:百万円)
決算年月 連結 単独 連単倍率※
2007年12月 15712 11442 1.37
2008年12月 5573 4435 1.26
2009年12月 7539 7078 1.07
2010年12月 2664 2460 1.08
2011年06月 2085 非開示 非開示
※ 連単倍率
「連結財務諸表の数値と単体財務諸表\の数値の比較を行う指標。
連単倍率は、売上、利益、総資産、純資産など様々な数値の比較で用いられるが、
単純に連単倍率と呼ぶ場合には利益ベースの連単倍率であることが多い。
例えば、連結上の経常利益が200、単体上の経常利益が50であった場合、
経常利益連単倍率は4倍ということになる。
連単倍率が低い企業ほど、グループ内における親会社の比重が高いと
いうことになり、連単倍率が高い企業ほど、子会社・関連会社の比重が高いと
いうことになる。」
出典:exBuzzwords.com
http://www.exbuzzwords.com/static/keyword_3592.html
現状、C&Iグループから離脱した子会社は、
“正常”に営業活動しているようだ。
しかし、民事再生法手続きにおいて、
この子会社離脱に関する心証は極めて悪いだろう。
とはいえ、C&Iについては言えば、結局のところ、日本振興銀行から
債権を引き継いだ整理回収機構(債権合計の7割保有)がどのような判断を
するかが焦点となるが、訴訟も抱えているため、前途多難なのは言うまでもない。
【総括】
一般的に業績不振企業は、資産の売却を行う。
審査する立場から見ると、売却資産の内容について注意しなければならない。
本業に関連する資産や事業の売却は、
「優良事業の脱出」と言える事例が存在する。
C&Iのケースがそうとは言わないが、倒産1年前に数回に渡って
実行された子会社の第三者増資やMBOは、“そのように”
捉えられても致し方ないだろう。
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【3】 編集後記 『戦闘力』
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漫画やアニメで有名なドラゴンボールにおいて、
“戦闘力”という強さを表す数値があった。
この“戦闘力”の特徴は、窮地や死から復活すると
急激に数値が上がることである。
仕事において、「自分の“戦闘力”は、どの程度なのかな?」と
思うこともある。
(一般的に“戦闘力”ではなく、“スキル”や“能力”と言った方が
良いのかもしれませんが、それだと内向きの力のイメージがあり、
外に対する力も言葉から感じる“戦闘力”の方が、私にはフィットします)
仕事上の窮地に陥り、それを何とかして切り抜けた時、
「爽快感とともに自分の“戦闘力”がアップしたような感覚」を
得ることがある。
だが、同じ失敗や窮地を繰り返したとき、
「あれは単に凌いだだけで、“戦闘力”は変わっていなかったんだな」と
思うこともしばしばだ。
“戦闘力”のアップのために、「もっともっと窮地よ、来い!」と
思うとともに、「もっともっと自らを追い込め」とも思います。
このメルマガも、他の業務に追い込まれて時間がない時の方が、
“より良いものができたな”と感じ、“戦闘力”がアップしたように
感じます。
「今回は、ちょっとだけ時間に余裕があったので、・・・」と
少しだけ思います。
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