━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2010.12.13
オックススタンダードメールマガジン 『 S T A N D A R D 』
http://www.ox-standard.co.jp/
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◆ 目 次 ◆
【1】倒産を理解する - 第2回 -
【2】編集後記
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【1】倒産を理解する - 第2回 -
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第1回に続いて、個別手続きについて記載する。
※
第1回については、下記URLをご参照ください。
≪倒産を理解する - 第1回 -≫
http://ameblo.jp/oxalarm/entry-10723391958.html
【個別手続き】
<再建型:法的整理>
(1)会社更生法
〔定義〕
裁判所の監督の下に、旧経営陣に代わり管財人が
債権者や株主等の関係者の利害を調整し、
株式会社の事業の維持更生を図ることを目的とする再生手続である。
〔対象〕 株式会社
〔特徴〕
1)原則、役員は総退陣である
2)手間とコストがかかる
3)更生手続き中の担保権の実行は、禁止又は中止となる
〔症状〕 重体
〔解説〕
会社更生手続中は担保権の実行は禁止される。
そのため、事業に不可欠な資産に担保権が設定されている
ケースなど、担保権者の理解を得ることが困難な場合に
利用されることも多い。
また、再建のために抜本的な組織再編や売却、
M&Aが不可欠な事案にも適していると言える。
スポンサーから派遣された役員等が管財人に選任され、
100%減資と新スポンサーによる増資が実行されるケースもある。
(会社更生中の日本航空は、分かり易い事例である。
2010年12月13日現在、日本航空では公的資金の投入、
債権放棄、リストラ、子会社の売却、100%の減資が実施なされた。)
「再建の見込みがない、もしくは失敗した」場合には、
破産へ移行することも多い。
(2)DIP型会社更生法
〔定義〕
裁判所の監督の下に、管財人として“現経営陣”が
債権者や株主等の関係者の利害を調整し、
株式会社の事業の維持更生を図ることを目的とする再生手続である。
〔対象〕 株式会社
〔特徴〕
DIP型会社更生法を利用するための要件は、4つある。
1)現経営陣に、不正行為などの違法な経営責任がない
2)主要な大口債権者が反対していない
3)スポンサーが確定している場合は、その了解を得ている
4)現経営陣の関与が、再建の妨げとなるような事情が認められない
〔症状〕 重体
〔解説〕
“経営陣の退陣が前提”となる会社更生法の適用が減少し、
民事再生法の適用が増加したことに伴い、
2008年12月中旬から会社更生手続きを利用しやすくするために
DIP型会社更生手続きの運用が開始された。
これによって、更生手続きを進めるにあたって、
債務者にとって有利な担保権の実行を禁止できる
会社更生法の利便性を、現経営陣が退任することなく、
利用できることになった。
ただし、DIP型会社更生は、現経営陣が居座りながら、
担保権の実行禁止ができるため、モラルの低い経営者が
「有利子負債の削減」や「既存株主の切捨て(100%減資)を
行うこと」を目的として利用される可能性がある。
(3)民事再生法
〔定義〕
裁判所や監督委員の監督の下に、債務者が
経営権や財産管理処分権を失うことなく、
債権者の多数の同意により、再建を図ることを
目的とする再生手続である。
〔対象〕 法人、個人
〔特徴〕
民事再生手続きの開始要件は、破綻を事前に防ぐ
意味合いが反映されている。具体的には下記の要件である。
1)債務超過および支払不能の“恐れ”がある
2)事業の継続に著しい支障を来すことなく債務を
弁済することができない
〔症状〕 重体
〔解説〕
民事再生法では、現経営陣が経営を継続することが可能である。
しかし、債権者が経営陣の居座りに不満を持つ場合、
再生手続きが頓挫することもある。
そのため、最近は民事再生法の申請前に、
あらかじめ主要な債権者やスポンサーからの同意を
取り付けるケースが増えている。
これは「プレパッケージ型」と言われる。
プレパッケージ型の民事再生の場合、申請以降の手続きは、
ある意味で“儀式”に過ぎない。
※
民事再生手続きにおいては、原則として担保権の行使を
禁止することはできない。
しかし、債務者が「競売手続の中止命令」や
「担保権消滅許可制度」を利用することにより、
担保権者の担保権の行使を防ぐ手立ては残されている。
※
(4)特定調停
〔定義〕
裁判所が、個人・法人を問わず、「借金の返済に窮している借主」と
「貸主その他の利害関係人」との話し合いを仲介し、
借主が生活や事業の建て直しを図れるよう支援する手続である。
〔対象〕 法人、個人
〔特徴〕
1)完全合意型の手続である
2)簡易でコストも安い
〔症状〕 重体
〔解説〕
裁判所の仲介により、債務者が債権者と示談交渉する手続きである。
<再建型・清算型:私的整理>
(1)内整理
〔定義〕
債務者が債権者と任意に協議して、
債務の猶予・減免などにより、内々に整理を行うことである。
清算を目的とすることも、再建を目的とすることもある。
〔対象〕 法人、個人
〔特徴〕
私的整理という言葉の通り、決まった手続きはない。
ただし、国税庁ではガイドラインを公表している。
・国税庁 『私的整理に関するガイドライン』
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/bunshokaito/hojin/050511/guideline.pdf
〔症状〕
清算型:死亡
再建型:重体
〔解説〕
清算型、再建型に関わらず、
債務者が債権者と示談交渉する手続きである。
裁判所が関与しないため、債務者に近しい会社や人物に
有利な整理が行われるという可能性がある。
それゆえ、不利益を受けた債権者から、内整理の無効を主張され、
最終的には法的整理へ移行するケースもある。
倒産というイメージを避けるために、
大口債権者との示談交渉で、再建を目指すケースもあるが、
この場合、「プレパッケージ型の私的会社再生」と言えなくはない。
<清算型?:私的整理>
(1)銀行取引停止(2回目不渡り)
〔定義〕
小切手や手形を6カ月の間に2回決済できない際に、
手形交換所から発動される処分である。
金融機関と2年間にわたって当座勘定や貸出取引が禁止される。
〔対象〕 法人、個人
〔特徴〕
銀行取引停止は、企業の資金繰り手段が断たれることから、
「事実上の倒産」と呼ばれる。
〔症状〕 重体
〔解説〕
銀行取引停止により、対外的な信用は失墜する。
しかし、会社が無くなる訳ではない。
現金取引など、銀行口座以外の決済手段で
取引継続が可能であれば、会社の存続は可能である。
ただ、ある程度の規模や商圏を保有する会社にとっては、
銀行取引停止は実質的に倒産と言っても差し支えないだろう。
次号につづく
★ 予告 ★
今号で、いわゆる倒産というカテゴリーに属する
事象の説明は、終了である。
最終回の次号は、倒産予知に寄与する前兆を表す事象に
ついて記載する。
※
個別手続きの表示レイアウト
<手続きの型:目的の型>
(1)名称
〔定義〕一般的な定義を記載
〔対象〕手続きを利用可能な対象を記載
〔特徴〕特徴を記載
〔症状〕症状区分を記載
〔解説〕解説や把握すべき内容を記載
※
〔症状の区分について〕
警察等で利用されている区分を参照して作成した
下記の5段階で、個別の倒産や経営危機を区分する。
・死亡: 死亡確認されたもの
・重体: 生命の危機に瀕している状態
・重傷: 長期入院が必要な状態
・中等傷: 中期間の入院が必要な状態
・軽傷: 通院が必要な状態
倒産や経営危機を端的に表現するために、
人間の症状を利用しております。
不快だと感じられたら申し訳ありません。
お詫び申し上げます。
※ 参照資料
・東京商工リサーチ 『用語辞典 倒産』
http://www.tsr-net.co.jp/risk_management/dictionary/kana_ta/1200758_1655.html
・帝国データバンク 『倒産の定義』
http://www.tdb.co.jp/tosan/teigi.html
・ウィキペディア 『倒産』
http://ja.wikipedia.org/wiki/倒産
・ウィキペディア 『倒産法』
http://ja.wikipedia.org/wiki/倒産法
・朝日中央綜合法律経済事務所グループ 『完全倒産ガイド』
http://www.ac-tousan.jp/
・野村総合研究所 『経営用語の基礎知識』
http://www.nri.co.jp/opinion/r_report/m_word/rehabilitation.html
・財団法人 日本調停協会連合会 『特定調停で解決』
http://www.choutei.jp/tokutei/
・裁判所 『裁判手続 簡易裁判所の民事事件Q&A』
http://www.courts.go.jp/saiban/qa/qa_kansai/qa_kansai22.html
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【2】編集後記
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『・・・・・2』
『・・・・・PART2』
大ヒット映画のパート2は、駄作が多い。
それは、1作目の評価が高いと2作目も同様
(もしくはそれ以上)の結果を期待するからだろう。
さて、『倒産を理解する-第2回-』だが、
1回目の評価は分からないが、駄作・・・というか、
テキストの羅列で辞書のようになってしまった。
第3回では、倒産予知に寄与する兆候型の個別手続きの説明と
第1回~3回までをまとめた資料を用意する予定である。
それで、何とか間延びした第2回目のメルマガの埋め合わせを
しなければなるまい。
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