ニュービジネス大賞受賞企業 民事再生法申請 | OX理論が測る企業価値

OX理論が測る企業価値

26年前、資金繰りに特化した財務分析手法が産声をあげた。
それは、【あらかん】から【OX理論(アラーム管理システム)】へと進化を遂げた。
【OX理論】を土台として、企業分析にいそしむALOX社専属ライターのメールマガジン、それに付随するこぼれ話を掲載。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 株式会ユビキタス・エクスチェンジ
 ~ 口座凍結・信用不安・給与遅延・人員流出 ~
               民事再生法適用申請 【負債総額:約50億円】


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



 
 【株式会社ユビキタス・エクスチェンジ】

 貿易センタービルにオフィスを構え、ニュービジネス大賞を受賞
 した株式会社ユビキタス・エクスチェンジ。
 急成長を続け、近年中に上場をめざしていた企業に

 何があったのか。

 


 【報道概要】
 1月29日に東京地裁へ民事再生法の適用を申請、同日同地裁より
 保全命令を受けた。設立は2000年6月、以降増収・増益
 (03/3~05/3期、確認できる範囲)と急成長を続けてきた。
 


 しかし、06/03期の決算について、担当監査法人が監査表明

 しない旨の記載があった。2006年11月に一部取引銀行が

 口座凍結、派遣社員の給与遅延が発生。

 信用不安と人材派遣社員の退職が相次ぎ、今回の措置となった。




 【会社概要】
 社名        株式会社ユビキタス・エクスチェンジ
 業種        労働者派遣業
 従業員数      65名
 所在地       東京都港区浜松町二丁目4番1号
            世界貿易センタービルディング31階




 【OX理論で分析】
 OX格付       BB 【39】(2005年3月単独決算)




 ●業績 (単位:千円)
         年間売上高 経常利益 認識借入金 
 2005年3月   2,955,706 180,884 2,202,695
 2004年3月  1,719,734 120,444 894,005
 2003年3月  504,503 26,540 83,406



 上記期間は増収・増益を確保している反面、
 借入金の増加率の方が大きい。
 
 増加率(前々期比) 年間売上高  5.8倍
              認識借入金 26.4倍




 ●評価項目(8指標+2指標)
   2005年3月  2004年3月
 【立替期間】     5 5
 【借入金対月商比】   3 8
 【借入金変化不健全度】 0 3
 【営業用資産回転率】 6 6
 【経常収支比率】 2 8
 【不一致係数】 3 7
 【粉飾係数】 5 10
 【支払余力】 10 20
 【コスト体質】     12 12
 【資産係数】    14 15
 【格付区分】     39 64



 
 ●借入金対月商比
    2005年3月  2004年3月
 【借入金対月商比】   3 8

 Alarmでの評価は2004年【8】から2005年【3】と急激に評価が
 下がっている。

借入金対月商比【年間売上高÷(認識借入金-現預金)】が

 2005年が7.01ヶ月分と過大。M&Aなど積極的に行う為

 の借入金と思われる。
 



 ●経常収支比率
   2005年3月  2004年3月
 【経常収支比率】   2 8

 2期連続で経常収支比率が92%とキャッシュアウトの状態が

 続いている。黒字でキャッシュアウトの場合、短期で解消できれば

 問題はないが、この状態が続くようであれば、経営上重大な欠陥が

 あるか、粉飾があるかである。



 ●粉飾はあったのか
 アラームでは、売上と販売債権、棚卸資産と仕入債権との

 バランスのブレから見なし粉飾額を算出してる。

 2004年3月期と2005年3月期で約7億7000万円程度と算出

 されている。
 月商との対比でみて、2005年3月期は2.7ヶ月分と比率自体も

 大きくなっている。

 

 経常利益率(6.12%)と経常収支比率(-7.21%)と乖離が13.33%と
 なっている。

 経常利益率(+)、経常収支比率(-)で乖離が10%を超えている

 場合は粉飾を疑うレベルです。

 

 当該企業は、2006年3月期の決算について担当監査法人による
 監査意見の表明しない旨の記載があった。
 又、2006年11月に、一部の取引金融機関から口座の凍結された。
 これらの定性的要因を加味していただいて、

 粉飾の有無をご判断頂きたい。




 ●新興企業の至上命令
 当該企業も近年中の株式公開をめざしていた。
 当該企業の場合もベンチャーキャピタルから出資を受け、
 毎期増資、社債発行を続けてきた。
 彼らの目的は上場時のキャピタルゲイン。
 その為、増収増益が至上命令となっていたのだろう。
 (資金だけ引っ張ってきて、後は赤字の垂れ流しで、
 開き直っている経営者も多いですが…)

 

 
 粉飾の有無が、企業の存続と直結している場合もあります。
 多くの企業が決算期を向かえる3月、1年間で一番倒産が

 多い季節です。
 今一度、取引企業の財務分析をおこなってみては、

 いかがでしょうか。



発行元 オックススタンダード() http://www.ox-standard.co.jp/