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株式会社ユビキタス・エクスチェンジ
~ 口座凍結・信用不安・給与遅延・人員流出 ~
民事再生法適用申請 【負債総額:約50億円】
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【株式会社ユビキタス・エクスチェンジ】
貿易センタービルにオフィスを構え、ニュービジネス大賞を受賞
した株式会社ユビキタス・エクスチェンジ。
急成長を続け、近年中に上場をめざしていた企業に
何があったのか。
【報道概要】
1月29日に東京地裁へ民事再生法の適用を申請、同日同地裁より
保全命令を受けた。設立は2000年6月、以降増収・増益
(03/3~05/3期、確認できる範囲)と急成長を続けてきた。
しかし、06/03期の決算について、担当監査法人が監査表明
しない旨の記載があった。2006年11月に一部取引銀行が
口座凍結、派遣社員の給与遅延が発生。
信用不安と人材派遣社員の退職が相次ぎ、今回の措置となった。
【会社概要】
社名 株式会社ユビキタス・エクスチェンジ
業種 労働者派遣業
従業員数 65名
所在地 東京都港区浜松町二丁目4番1号
世界貿易センタービルディング31階
【OX理論で分析】
OX格付 BB 【39】(2005年3月単独決算)
●業績 (単位:千円)
年間売上高 経常利益 認識借入金
2005年3月 2,955,706 180,884 2,202,695
2004年3月 1,719,734 120,444 894,005
2003年3月 504,503 26,540 83,406
上記期間は増収・増益を確保している反面、
借入金の増加率の方が大きい。
増加率(前々期比) 年間売上高 5.8倍
認識借入金 26.4倍
●評価項目(8指標+2指標)
2005年3月 2004年3月
【立替期間】 5 5
【借入金対月商比】 3 8
【借入金変化不健全度】 0 3
【営業用資産回転率】 6 6
【経常収支比率】 2 8
【不一致係数】 3 7
【粉飾係数】 5 10
【支払余力】 10 20
【コスト体質】 12 12
【資産係数】 14 15
【格付区分】 39 64
●借入金対月商比
2005年3月 2004年3月
【借入金対月商比】 3 8
Alarmでの評価は2004年【8】から2005年【3】と急激に評価が
下がっている。
借入金対月商比【年間売上高÷(認識借入金-現預金)】が
2005年が7.01ヶ月分と過大。M&Aなど積極的に行う為
の借入金と思われる。
●経常収支比率
2005年3月 2004年3月
【経常収支比率】 2 8
2期連続で経常収支比率が92%とキャッシュアウトの状態が
続いている。黒字でキャッシュアウトの場合、短期で解消できれば
問題はないが、この状態が続くようであれば、経営上重大な欠陥が
あるか、粉飾があるかである。
●粉飾はあったのか
アラームでは、売上と販売債権、棚卸資産と仕入債権との
バランスのブレから見なし粉飾額を算出してる。
2004年3月期と2005年3月期で約7億7000万円程度と算出
されている。
月商との対比でみて、2005年3月期は2.7ヶ月分と比率自体も
大きくなっている。
経常利益率(6.12%)と経常収支比率(-7.21%)と乖離が13.33%と
なっている。
経常利益率(+)、経常収支比率(-)で乖離が10%を超えている
場合は粉飾を疑うレベルです。
当該企業は、2006年3月期の決算について担当監査法人による
監査意見の表明しない旨の記載があった。
又、2006年11月に、一部の取引金融機関から口座の凍結された。
これらの定性的要因を加味していただいて、
粉飾の有無をご判断頂きたい。
●新興企業の至上命令
当該企業も近年中の株式公開をめざしていた。
当該企業の場合もベンチャーキャピタルから出資を受け、
毎期増資、社債発行を続けてきた。
彼らの目的は上場時のキャピタルゲイン。
その為、増収増益が至上命令となっていたのだろう。
(資金だけ引っ張ってきて、後は赤字の垂れ流しで、
開き直っている経営者も多いですが…)
粉飾の有無が、企業の存続と直結している場合もあります。
多くの企業が決算期を向かえる3月、1年間で一番倒産が
多い季節です。
今一度、取引企業の財務分析をおこなってみては、
いかがでしょうか。
発行元 オックススタンダード(株) http://www.ox-standard.co.jp/