不一致係数と粉飾係数① | OX理論が測る企業価値

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 不一致係数と粉飾係数①~ネクストウェア~

 

 不一致があっても耐久力があれば粉飾係数の得点は高い

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 本日はアラームをご利用頂いているユーザーの皆様から最も多い

問い合わせについて、ご説明致します。



【ユーザーの皆様のご質問】
Q.なぜ、粉飾しているにも関わらず、粉飾係数が高得点なのか?
その理由を知りたい。



【回答】
A.粉飾係数は、粉飾そのものを評価している訳ではありません。
不一致係数を通じて算出された「見なし粉飾額」に耐えうる体力が

あるのかどうかを評価しています。

よって、体力(自己資本)がある企業は、粉飾に対する耐久力が

あるため評点が高得点になることがあります。



上記について、事例を用いて解説致します。

【事例①-ネクストウェアの場合-】

粉飾の手口
・事業部長の注文書偽造などによる架空売り上げ計上
(2006年3月期中の架空売り上げ10億9100万円)


Alarmの評価(2006年3月連結)
●不一致係数:3
●粉飾係数:7
●OX格付評点:67点


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ネクストウェア(2006年3月連結 分析表1~2)
http://www.ox-standard.com/analysis/pdf/nextware12.pdf
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 【なぜネクストウェアの不一致係数が3点なのか?】
 不一致係数では、下記の2つの視点で評価をしています。
 ①売上高と販売債権(売掛金・受取手形)
 ②在庫と仕入債務(買掛金・支払手形)



 不一致係数の考え方は簡単です。
 通常、売上が伸びれば、売掛金も伸びます。
 しかし、粉飾を行う企業や積極投資をしている企業は、売上が

 伸びているにも関わらず売掛金が減っているケースや、

 仕入は減っているにも関わらず在庫が急増するケースなどが

 あります。
 そのような異常な数値(不一致額)を算出し評価しています。



 ネクストウェアは、18億2400万円の不一致額があると算出され

 ました。月商の3.17倍です。Alarmでは3.17倍の不一致額は

 過大と評価し、点数を3点としています。




 【なぜネクストウェアの粉飾係数が7点なのか?】
 不一致係数から導き出された不一致額から「見なし粉飾額」を

 抽出すると10億7100万円となります。



 この10億7100万円がネクストウェアにとって"重いのか軽いのか

 が問題です。

 当時のネクストウェアには、Alarmにおける自己資本である

 修正前支払余力額(資産合計-主要債務

 【手形・買掛金・借入金など】)が22億3400万円ありました。

 「見なし粉飾額」の約2倍の数値となります。

 つまり、自社の事業活動に支障をきたすほどの不一致する額

 はない。そのため、粉飾係数を7点と評価しています。



 ヘラクレス上場のネクストウェアは粉飾発覚後、監理ポスト入り

 しました。しかし、会社としては存続し、上場も維持しています。

 つまり、粉飾はあったがそれに耐えうるだけの内部留保

 (自己資本)があったからこそ、現在があると言えます。



 次号は、木村建設の事例を用いてご説明します。



発行元 オックススタンダード() http://www.ox-standard.co.jp/