母から電話があった。


「健一、ちょっとお願いがあるんだけど」


「どうしたの?」


「銀行から手紙が来てるんだけど、これ何かしら?」


実家に行くと、テーブルの上に銀行からの封筒が3通並んでいた。


「3つも口座あるの?」


「さあ……」


母は首をかしげた。


一つは父が使っていた銀行。


もう一つは、私も知らない銀行だった。


そして、もう一つ。


「これ、お父さんの名前じゃない?」


父の名前が書かれていた。


父は亡くなっている。


「お母さん、これ知ってた?」


「知らないわ」


私は封筒を見つめた。


父が亡くなったとき、相続の手続きはした。


でも、それですべて終わったと思っていた。


「お父さんのお金って、全部確認したんじゃなかったの?」


母は少し黙ってから言った。


「……たぶん」


その「たぶん」が、妙に気になった。