引っ越しのとき
ふと…
立ち止まった
何気なく振り返り
其処にあったものが無くなって
少し広くなったリビングを眺めた
そこには
確かに在った夢
希望に満ちた私がいた
でも、少し大人になって気が付いた
あの時の描いたものは
ぼろぼろの何かになって
あの頃抱いた希望は
虚しく色褪せた
時代も世の中も移ろう流れ
昔の流れなんて知らないし解らない
だから
この寂しくなっていく部屋をみて
埋もれちゃったんだなって
理解した
何処までも続く道を振り返る事
それよりも
背丈も身丈も理解して
二度と戻らないであろうこの一空間
過去から今まで
これを振り返る事の方が
どういう訳か
重いものだ
幸せだとか抜きにしても
重い
驚くほどに…
あぁ…なんというのか…
もっと違う私が、ずっとずっと上で輝いていたはずなんだ
メキメキと音を立てて大きく成長したはずなんだ
でもいまは
不貞腐れて
少し大きめのガラスのコップの中で
丸くなった岩氷と黄金色の水を揺らして
何にも成らない気持ちばかり
大きくするだけ
虚しいだけ
何が、したかったんだろうな…私は…
真っ暗な中で月ばかりを注いでさ…?
何一つ無くなって
気配が消えた部屋
最後の施錠を終え
再び歩き出す荒野は
ただ、ただ
ひたすらに気力を奪い
走る、と言う事を忘れさせた
でもいまは
自由と言う
小さな火を灯して
前へ
前へ
と
前へ
前へ
と
進むのだ。
梟霊
