白い紙に
大好きなあなたを描きたくて
筆を執る
でも・・・
出来上がったのは
ただの
絡み合った線の束
思い出の中には
鮮明にあるのに
笑顔も
泣き顔も
怒り顔も
呆れた顔も
照れる顔も
皆あるのに
この手が
記すのは
「あなたの死」
体が認めているのに
心が認めない
あぁ、これが喪失
あぁ、これが失望
何も失っていないのに
指先から
少しずつ
今ここにいる
僕が
抜けていっている気がして
ふと、
全て抜け切った後に
ここに立っているのは
誰だろうと
考えてしまった
白い紙に
大好きなあなたを描きたくて
筆を執る
出来上がった紙を
自信ありげに
皆の見える場所に置いたが
誰もこれを
あなただと
知るものは
いない・・・
なぜならそこに
ぼくもいないからだ・・・
by梟霊