
こころと躰が同じなら
難なく進むであろうこの道も
いざ、壊れたこころを引き摺ると
いやいや、どうして
ままならない…
当たり前に熟(こな)していたことさえ
やきもきとして…
ままならない
焚き火のように燃えていた憤怒は
下火についたものの
役に立たない灰を
見せつける
私だ、とでも言いたいのだろうか
とりあえず
会社から去ってみた、ものの
変わらない
あぁ、なら、いっそ…
社会から、世の中から
去ってみたら?
と、誰かが囁く
だが、私は怠惰だ
もう…何もかも、面倒だ
何もかも、億劫だ
優しい囁きさえも、躰には響かない
つまらない
つまらない
つまらない
本当に、つまらない
何やら響く、何やら遠のく
誰かを尻目に
私は
空を眺めた
割れた鏡は、治らない
そう、呟いて…
こころと躰が違うなら
やる事なす事あべこべだ
と、思うだろう
しかしながら
壊した程度では、そうならない
投げ出さない限り死なないし
捨てない限り迷わない
いつもと違って
その時
その場所に
何が必要で
どうやって行くか
が…
だいぶ遠回りするだけで
私は、私のままだ
もどかしいと言えば
もどかしい
しょうがないと言えば
しょうがない
こころには
ワクチンも特効薬もない
ただただ、支えの付いた皿から
落ちないようにするしがない
端から見れば滑稽で
端から見れば、理解不能
けれども
そうなってから気がつく
弱さでも、忍耐でも根性でもなく
目の前に己の道を押しつけて
外れた人が立ってしまっただけなんだ
こころとは
なんと度しがたく不完全で
何処までも不透明なのだろう
まったく
壊す側も壊される側も
盲目なのだ
だからだろうか
あの宙の丸い虹も
人と言う雨の中にあっては
理解されがたいのだ
でも、うらやましい…
彼らは、壊れてはいない
そのまま、素のまま
悩んで悩んだ答えを掲げている
地上の丸い虹だ
何もかも億劫で
何もかも面倒な
私のそれよりも輝いている
でも、うらやましいからといって
今の私は
動かない
なぜなら
割れた鏡に、私の背中を映しているから
by梟霊