前を見て歩いてきた
ぶつかっても
ころんでも
ゆっくりと
前に前へと歩いてきた
誰が燕のように抜き去っても
誰が獅子のように軽やかに飛び越えても
誰が鯉のように悠々と登って行こうとも
私は
ただの私として
進んでいた
ゆっくり踏み締める感触が好きだった
ゆったりと乗り越える感覚が好きだった
なぜなら
世界が無限に広く見えたから
でも
近頃は、上ばかりを見ている気がする
立ち止まり
振り向くことが多くなった気がする
長く深いため息をするようになった気がする
進むことが
酷く、ひどく
おっくうで面倒で、どうでもよくて
私は
いつの間にか、空に惹かれ
空に落とされた気がした
知らない誰が問いかける
翼の無い君には届かない
翼がなければ作ればいい
手足がない君には届かない
手足がなければ、這いつくばってでも進めばいい
這いつくばる君には行く手が無い
ないならないで想えばいい
想う君には心がない
心がなければ呪えばいい
己も空も、あの人も
そうすれば、積み重なって
いずれ届くさ
呪まな君には届かない
届ける必要がない
なぜなら君は
もう空になっているから
空になったら、風と踊るさ
風はいずれ落とすだろう
落ちたら大地を抱きしめるさ
大地も飽きれば手放すよ
放せば惜しみながら旅経つさ
旅路の終わりは水底よ?
終わりのさきは始まりさ
誰もが消えた空を
私は再び追いかける
君は…
どうしてそこまで…
別に対した理由はないさ
ただ考えた
誰も居ない星こそが
一番なんじゃないかなってさ。
by梟霊