白亜の夢 | 梟霊のブログ

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とことん変り者なため・・・
絡み辛いこと必死
静かに、生暖かく見守ってください

白亜の夢




夢を見た
真っ白な、真っ白な
夢を見た
それは子供の落書きのようでもあり
それは、僕自身の心其のもの用でもあった
大好きだったあの頃と
大好きであったあの時を
真っ直ぐに繋ぎ合わせるかのような
ちぐはぐな夢を見ていた

僕は恋をした
薄紅色の桜舞う季節ではない
純白の雪が舞う頃だ
名前も知らない
けれども気になる
どこか仄暗い影を湛えた
その人を
一目で好きになった
触れたら溶けそうな澄んだ瞳
触れたら砕けてしまいそうな白い肌
あの白の中から生まれ
あの白の中に佇む
その姿が
美しかった
ただ・・・
顔が、今では思い出せず
ぼんやりと霞みがかったまま・・・
言葉を交わしていた

ーーちゃん
その人の名を呼ぶ
僕の声は、鳥よりも高く弾む
青空の時も
雨空の時も
いつだって
何かを弾むピアノのように
時を奏でる
何処か大人びた返事を聞くたびに
僕は、胸高鳴らせ
ほんのりと冷たい手を握り
歩き出す時は
舞い散る花弁の幻の中に身を置いた
大好きで
大好きで
大好きだった
でも・・・
思い出せない

歯痒さの中に幸せがあった・・・
笑っているはずなのに
楽しいはずなのに
その顔を
僕はまだ、見ていない・・・

あの人を待つ
珍しく一人
ふと、出会った頃と逆なように想えると
何となく恥ずかしさが込み上げる

あの人を待つ
珍しく独り
真っ白な世界が真っ青になり
やがては真っ暗になった
一本の街灯の下に身を寄せて
しらずむ吐息を
ひたすらに眺めた

あの人を待つ
珍しくヒトリ
降り出した雪は
頭を撫でて
肩を叩く
俯く僕は、どこか不安気に影と
語り合う
約束の時はとうに過ぎた
いつまでも
いつまでも
舞っていた雪
ふと、止んだと思った
顔を上げて
隣を眺める
知らない人
告げられる言葉
突き刺さる現実に
奥歯がきしむ
寒さからではない
恐怖
そう・・・
失うという恐怖からだ
現実なのか
夢なのか判らず
暗闇の中へ飛び込んでいった僕は

現実の今となっても
ひとりきり・・・
あぁ・・・
逢いたい
あの人へ
あぁ・・・
会いたい
あの人へ
想いばかりが降り積もり
こころばかりが取り残されて
夢は醒める
恋に酔いしれた時間は
真っ白な部屋の中
ひたすらに鼓動を刻む電子音に遮られた
ぼんやりと浮かぶ
自由だった時間が懐かしく
ぼんやりとした思考は
今か今かとその時を待っている
届かないところへ
届かなかった場所へ
今行くよ
大好きだった君の下へ

僕は描いていた
子供がアスファルトの上に描くように
ぐにゃぐにゃと曲がった君の笑顔を
真っ暗なはずの病室の
真っ白なはずの天井に
楽しそうに
描いていた・・・

ーそれは、誰?-

優しい声に振り向いて
僕はあの頃へ還る
優しい声に振り向いて
僕は、あの頃へ駆けだした
放り投げた真っ白なチョークが
クルクルと回り
こつんと僕のおでこに落ちて消えていった
きらきらとした君の笑顔を見たような気がした
きらきらとした君の声を聴いたような気がした
けれども
僕の胸は、静かに沈む
吐き続ける息が
静かに止まり
刻んでいた音が鳴ったまま
一線を描いた
僕の瞳は
透けた天上の星空を映したまま
ゆっくりと開いていく
誰もいない
誰も来ない病室の真ん中で
僕は
真っ白になったんだ・・・





byキケロ