僕の恋は
実らない
僕の愛は
根付かない
雑草ばかりの草原に
名もない
僕は一人きり
誰にも気づかれず
誰にも知られず
誰にも覚えられることはない
ただ一本の木
夢の中で
あの月へ恋をした
大地を白銀へ変えて
暗闇を滑り落ちて行く
美しい姿に
心奪われて
大きく、大きく
背伸びをした
どこまでも
枝は伸びて行く
どこまでも
影は伸びて行く
それでも届かない
恋の指先は
虚しく風に揺れて
カサカサと音をたてた
夢の中で
あの太陽に愛された
凍えることのない
温かな日差しに見守られ
ゆっくりと
ゆったりと
日々を過ごした
けれども
その愛は、どこか虚しい
触れることを拒むかのように
貴女のドレスは
灼熱の中に揺らいでいる
近付けば近づくほどに
葉は灰に
幹は炭に
胴は乾き
根は萎む
水も土も
向けられた愛へ背を向けて
地の底深くへ逃げていった
残された
こころも想いすら
あの心地よい光の中で
カラカラに乾いてしまう
あぁ、届かない・・・
儚さに俯き
儚さに、項垂れた
僕の恋は
実らない
僕の愛は
根付かない
願いも祈りも
幾度、風に載せたことだろう
求めても
求めても
求めても
求めても・・・
所詮、ただ一本の木
誰も耳を傾けず
誰も振り返ることもなく
誰も気にもとどめることがない
ただ、一本の木なのだ
生え広がる雑草の波の中で
さらさらと枝葉を揺らすことしか
出来ないのだろう
幾ら、朝露を纏い
金色に輝いたところで
幾ら、枝葉を錦色に染め上げたところで
空っ風に全てを吹き飛ばされて
冷やかされるのが
関の山・・・
あぁ、僕は
あぁ、僕は・・・
どうしてしまったのだろう
何かを恋しいと思うことも
誰かに愛されたいと願うことも
無かったのに
なぜ
独りが急に
怖くなってしまったのか
解らないまま
雪の花を咲かせ
深山の奥底で
小さく深呼吸した
byキケロ