風の中
うねる薄野
冷え込む心の
思いのたけを叫ぶ
夕空は
朱く燃えながら
常闇へ堕ちて行く
むなしい
むなしい
ぶつかり合う草木の囁き
零れる度に
ひかる思い出
水たまりに映るあなたの笑顔
冷え切った指先に
灯る温もりは
いつから無くなったのだろう
悲しみを湛えた瞳には
満月が満ちる
金色にも銀色にも
例えることが出来るその視線の先は
酷く
酷く
虚ろに思えた
暗がりに浮かび上がる
横顔
苦笑い
ぼんやりとして
夢の中に居るような
ふわふわとした心地なのに
足元だけは
しっかりと
どっしりと
其処に在った
さようなら
名前を呼んでくれた声で
別れを告げた
優しさを含んだ声で
その言葉を私に突きつけた
夢であったなら・・・
振り向いたそこには
誰もいない
常闇が延々と広がって
虫の声が澄み渡り
響いては
消えてゆく
あぁ・・・
涙がこぼれる度に
愛おしさが溢れ出す
あぁ・・・
泣き声が零れる度に
思い出が流れ出す
大好きな人が居ない
大切な人が居ない
その現実だけが
私の背中に
冷たく寄りかかる
朝露を湛えた薄の穂が
朝焼け背に金色に変わるころ
私の影は
彼の去った方へ
ゆっくりと歩みを進め
私はじっと
その焔が、雲を焼き
野を燃やし
この身を包むまで
動かず
そこに
立ち尽くしていた
byキケロ