朧
あなたを失って
涙する夜は長く
ようやく逃げ出せたとしても
直ぐに朝の光に叩き起こされてしまう
あぁ・・・
どうして背中が冷たいのだろう
白く呟いて
おもむろに見上げた天井が
あなたとの思い出で
あふれ出し
再び目の前を
暗く閉ざしてしまうまで
私の溜息が
永遠に思えるほど
こだました
ようやく夢の中に閉じこもったとしても
あなたの笑顔が
何故か恐ろしい
あなたの声が
何故か恐ろしい
あなたの優しさも
あなたの温もりも
何もかもがあの桜の花びらのように
簡単に手の平の隙間からすり抜けてしまう
見たい
けど
見たくない
見て居たい
眺めて居たい
けど・・・
逃げ出したい
この一瞬の幸せは
一体どれだけ私を切り刻むのだろう
死という一文字を刻んでしまった心は
幻すらはねのけてしまうのか
どこにも逃げ込む場所がない
この止まった空間にも
動き出す現実にも
なのに夢の中のあなたは
いつも最後には・・・
両の手で頬を包んで
苦笑いを浮かべながら
頑張れって言ってくる
それがなぜか無性に腹立たしく
存外に嬉しくもあり
なんども
なんども
私の起きている世界を
朧げにしてしまうのだ。
byキケロ