永遠のゼロ
私達は終わりと始まりを繰り返す
ただの一度として
同じものはない
一秒だって
一分だって
一時間だって
一日だって
一月だって
一年だって
なんども、なんども繰り返しているのに
同じものなんて
一つとして無かった
気が付くために失って
失ってから気が付いて
またそれを忘れてしまうのだろうか
それはこころまでも飲み込んだ
楽しかった日々が
嬉しかった一時が
一枚の写真に映し出されていようとも
思い出という悲劇が
振り返る楽しみをすべて奪い去った
何もかもが、するすると
何もかもが、面白いように
崩れ
押され
流されて
無くなった
まっさらになったと
諦めてしまえばいいものを
残された土台を眺める度に
その幻影(かげ)に涙する
私はきっと
死ぬまで引きずるだろう
進んでも
回っても
あの瞬間は
永遠のゼロとして
深く刻み込まれた
結婚して
子供をもって
現在進行形で幸せの笑みを零そうとも
影として
どこまでも
追いかけてくるのだ
私達は繰り返す
ゼロを見届けた人々だけ
なんどでも・・・
けれどもそれも
覚えている人がいなくなれば
終わってしまう
不思議なものだ
あれだけ騒いだ時間が
あれだけ動揺した瞬間が
瞬く間に過ぎ去って
まるで
落ち葉の下に埋もれていくように
忘れ去られる
この瞳
この両の耳
身体、こころは
死ぬまで生々しく
見せつけ聞かせてくるだろう
だが、理解はそこまで
後の世は見解ばかりで
あの時の鼓動
想い、現状も夢幻の中へと
帰ってしまう
良かったと考えるべきか
残念だと伝えるべきか
心はいつも
あの時計の振り子のように
揺れ動く
開きかけた
震える唇を噤む
大海原に浮かぶ美しき太陽の道を眺め
目の前の幸せを
強く抱き寄せ、強く抱きしめる
私はおそらく
伝えられないだろう
ただ臆病に
小さな命に寄りかかって
その一生を終えてしまう
そんな気がしてならない・・・
by銀翼のキケロ