あの夜(よ)
白めく吐息が
はしゃぐ子供のように
目の前を駆けていく
青白い
どこまでも平らな
雪の平原で
静けさと寄り添いながら
あの月を眺めた
生きたいのか
逝きたいのか
はっきりしない自身を見つけたくて
うっすらと浮かぶ影と語らいながら
何となく進み
何となく溜息をついた
この世で在りながら
あの世に立っている
今・・・
ただ、見渡して
ただ、一言
美しい
そう思える事
それだけが
宙ぶらりんな魂を吊り上げて
居た
波立つ
時折吹く風が
細かな雪を舞い上げて
あの海のように
どこまでも、どこまでも
旅をする
波を生んでいる
その風が
あの砂漠のような
広大な波を描き
白銀の世界を
一枚の油絵に仕上げる
あぁ、私はそれを壊し
壊しながら登り続ける月を目指す
何のために・・・
はて・・・
何のためだったか・・・
歩くたびに
空になり
進む度に
軽くなり
振り向けば
眠れる自分の姿があり
なんの疑問を抱くこともなく
それに
手を合す
夢のような心地が
ふわふわと舞い始めた雪と共に
降り積もり
僕は
永遠の夜を踊り始めた
光る街並みを足元に広げ
寄り添う星空を背に
見知らぬ誰かと
ゆっくりと
ゆっくりと
踊り続けた
いつか降り注ぐ
朝陽というものを
夢見ながら
by銀翼のキケロ