恋傷
好きだと気が付いてから
僕が俯くのは
きっと見上げることが怖いから
誰かの瞳を眺めることが出来ないから
その先を見てしまうことが恐ろしいから
誰かの笑顔を見つめることが出来ないから
自分の影ばかりを見つめる
塞がることのない
胸の
見えない傷ばかり撫でて
僕の手を引く
温かな誰かの手を
唯、眺めた
好きだった
既に過去という流れの先に漂う出来事
僕は、時間という流れに逆らった覚えはない
けれども
その流れの先に
真っ暗な夜の地平線の先に
未だ輝きを失わず手を振り続けている
だからだろうか
僕の肩に寄りかかる
ほのかに花の香りを舞い散らす
優しい君の寝顔を
自分だけのものと
認識することが出来なかった
渦巻く想い
心から流れ出る涙
どうして
こうも臆病になってしまったのか
自身へ向けた憤りが
ギリリと奥歯を鳴らし
それに気が付いて
頭を撫でてくれる誰かへ
そっぽを向きながら
ありがとうと
いう事しか出来なかった
by銀翼のキケロ