黒の太陽
耳の奥から
風の音がした
温かな日々が続く春の一時も
命燃え上がる真夏の昼下がりも
静寂に眠りゆく秋の夕暮れ時も
白銀に飲み込まれた街の夜も
その音は
消えることなく
吹き続ける
憎い・・・
憎い・・・
憎い・・・
閉ざした心の
扉の先から零れ出る
本音
本当の私がその中から
私を
私自身もといった方よいのだろう
人という種に向けて
憎い、と繰り返す
信じるという事を知る前に
裏切り続けた世界があった
まだ幼く
理解すら追い付かない
あの日の私は
泣き叫び
絶望し
狂い咲いた
ガラスが割れるような音を聞いた時
私の他に
幾つもの私が、私そのものを
封じ込めるために生まれ
無くなっていった
日に日に
分厚くなる壁
安堵したころの私には
最早、愛などを謳歌する気力もなく
ただ、ただ
一年でも早く、これを連れて
眠りに就きたかった・・・
長い
いつになればこの身体は朽ちるのか
どこに行けば
何かしらの理由で死ねるのか
長い
どこに行けばこの身体は滅びるのか
いつになれば
死は、私を迎えに来るのか
眼を閉じる度に
黒々と燃える太陽が
私の中の緑を飲み込んでいく
憎しみを乗せた風が
私自身を蝕んでいく
気を許せば
きっとあの扉は開いてしまう
早く
さぁ、早く
終焉へと誘わなければ・・・
笑顔も
優しさも
燃えていく
記憶の中で
灰になっていく
あぁ、呪われた子
純粋が故の業
一体、誰がこの憎しみを
消してくれるのだろうか
一体、誰がこの苦しみから
解放してくれるのだろうか
ふと
気が付けば
私も
誰一人として
信じることなく
生きていた
悲しい時も
苦しい時も
背を押され
励まされた時も
何もかも鬱陶しくなっていた
だからなのだろう
螺旋曲がっていく
私の頭上にも
いつの間にか黒い太陽が燦燦と輝き
堕ちていく姿を
じっと
ほくそ笑んで
眺めているのは・・・
ひゅうひゅうと
ひゅうひゅうと
いつまでも
どこへでも
ついてくる
ひとりごとのようなかぜは
いまもまだ
みみのおくで
つぶやくように
うたっている・・・
by銀翼のキケロ