眺める
独り
部屋の中
辺りは、新しい世界への扉を
今か今かと
待っている
それが鬱陶しくて
それが小うるさくて
両の耳を
イヤホンで閉じた
真っ暗な瞳の奥に広がる
私だけの世界を見つめて
駆け出した
悲しい一年だったかもしれない
もしかしたら
楽しい一年になるかもしれない
でも
まだなにも解らない
真っ白なままの
新しいノートの外側から
眺める私
恋もしたい
遊びもしたい
働いて、生きがいを見つけたい
やりたいことだらけ
あぁ、なんて広い世界に
一人でいるんだろうか
ほっと、溜息をついた
何も望まず
何も求めず
私は、零の美しさを
眺める
何が楽しいのかも
何が嬉しいのかも
捨てて
静寂の中を漂う
変化を拒むこの身体
この心
人の死を見つめすぎて
墓石のように
己の名を刻み
佇むようになってから
愛おしむことも
慈しむことも
目標を持つことさえも
握り締めることはなく
そこにあり
そこにいるだけの
何ものでもなくなった影を
ゆらめかす
月の明かりに浮かび上がりながら
君も
あなたも
同じ一人
同じ独り
なのに眺める世界は別々で
降り注ぐ輝きすらも
受け取り方も
全てちぐはぐで
言葉だけで繋がる世界とは
全くバラバラで
いがみ合った
通り過ぎていった時間が
とても懐かしい
気が付けば
私も
私も
あなたの声を
君の声を
ふと、聞きたくなる
今、どうしているのだろうと
片隅で想いを起こす
ポッと灯った暖かな何かに
頬を緩めて
同じ空を見上げて思う
出逢えてよかったと
元気だったら、良いな、と・・・
by銀翼のキケロ