今は、昔
大人になって眺める空は
ただ美しいばかりで
飽きてしまう・・・
夢を描いた空は
どこへ消えたのだろう
希望を掲げた空は
どこへ流れたのだろう
薄暗い部屋でただ一人
窓から眺める快晴の空
何もないカラッポの空間に過ぎなかった
当てもなく駈け出せた空は
どこにあるのだろう
幻想が飛び交ったあの空は
どこへ行ってしまったのだろう
今は昔
その昔
私という無知で愚かな少年が
ひたすら真っ直ぐに眺めた青の世界
何もない、何もないからこそ
そこに何かが在ると信じた過去
飛べない鳥が
羽ばたく姿を夢見るように
私にもいつか
私にも、いつかと
待ち望む時間があった
それが、どうして・・・
あれから、どうして・・・
全ての空が
現実という蓋の裏に引っ付いただけの
薄っぺらい
つまらない物であったと
知ってしまってから
子供の玩具の様に、眺める日々
この胸に浮かぶ
あの雲も、あの鳥たちも
あの蜻蛉の群れも
あの飛行機雲も
輝いたまま、止まっている
止まったまま色褪せて
私を、大人というものに変えてしまった
あぁ、あの頃に戻りたい
いつしか願う
小さな言葉
もう、戻れない・・・
それを理解したうえで溢した
心の涙の言葉だった
大人になって眺める空は
ただ美しいばかりで
飽きてしまう・・・
あの頃の夢は壊れ
継ぎ接ぎ姿で隅に置かれている
そこに差し込む一筋の光は
どこから注がれているのだろうか
窓もないこんな狭い
心の
どこから降り注いでいるのだろうか
とある日の私は
小さな溜息と共に
すこし、思い出を整理してみるのだった
by銀翼のキケロ