火想
真っ白な月が出た
真っ暗な世界を
真っ青に染めて
僕を見下ろしていた
極寒の中
風はなく
鼓動だけが
大きく世界を叩き付けていた
美しさの中に
吐息が、ゆらりと立ち上り
生命の熱気が
じわりと足元の雪を解かす
あぁ、静寂に一人・・・
あぁ、沈黙の中に独り・・・
終には、辺りは青白い焔に包まれ
この身も
容赦なく飲み込まれた
まるで水の中からそれを見ているように
視界は、歪み
思考は、遠くに去っていく
漆黒の中
唯一人、落ちていく
どこまでも、どこまでも落ちていく
消えぬ焔を纏って
灰を、星の様に散らかして
どこまでも落ちていく
滅びをただ待つことしかできない
その苦痛は最後の力を振り絞り
手足をバタつかせた
多分、僕なりの足掻き方だったんだろう
それも、束の間の出来事で
あとは漂うように力なく
落ちていった
ずっと遠くから落ちて来た
小さく赤い火の欠片
何となく掴み
何となく抱き寄せて
何となく見つめては
もし次があるのなら
この焔の色になりたいと
そっと、願った
温かな色
届かない色
誰かに、抱きしめられているような
心地よい、色、だった
by銀翼のキケロ