潰す者
その者は、普通に笑う
その者は、いともたやすく
手を伸ばし
その者は、力強く前に進む
だが・・・
それは、他者の為にあらず
秘めたる悲願の為にある
好いては
離れ
恋しては
眺める
歩けば潰し
走れば、刈り取る
刃を振るい
愛でれば、愛でるほど
殺意に変わる
冷えたる両の手を
どれほど、恨んだことだろう
動かぬ心に
なにほどの怒りを、覚えたことだろう
瞬きほどの時の果て
悟りの先に
罪色を見たり
あぁ、そうかと
溜息一つ
私は、其の為にここに来た
閉ざし
途絶えて
無に帰す
潰す者
で、あるか・・・
なんとも、なんともつまらぬ
役目を持ったことだろう
生まれてこなければ良かっただろうか
気づき、至らねば良かっただろうか
ただ、茫然と
立ち尽くし
ただ、粛々と歩くことしか許されず
終わらせるためだけに
生きる
その者は、他者と変わらぬ人である
その者は、他者と変わらぬ顔を持つ
その者は、少し変り者であるが誠実で
その者は、終焉の役目を背負い孤独の定を生きる
潰す者である
小言で囁く恨み節
親縁に、見せるものかよ
玉の子を
生みし己を悔いて
火都へ墜ちろ、堕ちろ
案ずるな、案ずるな
法と悟り
虚空の煙に立ちて
消え去れ
その罪と共に
いずれ、そこに
我もゆく
その血
途絶えし喜びの
声、携えて・・・
by深怨のキケロ