災
どうしてだろうか・・・
あの月が
不意に、美しく見えた
どうしてだろうか・・・
その下に居る君が
とても美しく見えた
大粒の涙を溢しながら
なんども
なんども
どうしてって聞いてくる姿が
儚くて
言い訳も
理由もすべて、音もなく
立ち止まってしまった
高台の上から
望む故郷
立ち上る焔は、一つ
じゃない・・・
僕ら以外にも
それを見つめる人は大勢いた
でも、こればかりはどうにもならない
だって
きっとあの炎の中にも
僕らと同じ人がいる
現在進行形で、駆けている人だっているだろう
いち早く
辿り着いたから
眺めているだけなんだ
どうしてなんて
問いかけないで
どうして、なんて
投げかけないで
災いに、抗えるほどの
奇跡なんて
僕にも
君にも
ないんだ
朝日がとても眩しくて
とても、寂しいものだった
人々の悲鳴や溜息が
目覚ましなんて最悪だ
気休めの防寒の中
胸の中で眠る君の耳を
そっと閉ざした
一分でも長く
この時ばかりは
幸せだった昔の
夢の中に
居てほしいと
願ったからだった
この・・・
何もない大地が
故郷だと
教えたくないと
思ったからだった
by銀翼のキケロ