思い出の中の花弁
僕が、僕でなくなるたびに
その花びらは散って逝った
僕が、僕を捨てるたびに
その思い出の中の花弁は
褪せていった
誰が、誰を好きだったか
誰が、誰を愛していたか
どうでもいいことのようで
実は
とても、とても
大切なことだった
とても、とても
大事なことだった
なのに
僕は、それを
拒絶した
それが、今となれば
惜しいことをしたと後悔する
僕が、僕を探すたびに
その花びらは、静かに舞いあがっていく
僕が、僕を拾い集める度に
思い出の中の花弁は、あの虹の様に
思い思いに纏まりだした
空ばかりを見つめて
支えてくれたものを忘れていた頃には
気が付かなかった
大切なこと
夢ばかり眺めて
手を引いてくれていたものを
知らなかったころには
見向きもしなかった
大事なこと
僕は、君を
大好きで
大好きで
大好きだった時間を
愛して
愛して
愛してやまなかった想いを
薄紅色の花弁の舞う季節に
別れが飛び交い
出会いが交差する世界で
気が付かないままに
丸めて捨てていたんだ
どうして、わざわざ待っていたのだろう?
どうして、僕なんかに手を差し伸べたのだろう?
辿り着いた
追い付いた
あの頃の僕を捕まえてみて
ようやくわかった
それが恋と愛が入り混じる
青春というもので
その苦しさから
僕は逃げ
君は、そんな僕を
捕まえようとしていたんだなって
さ・・・
今更会いたいなんて
我儘
言えるはずもなく
ただ、あの頃の場所で咲き続ける
少し大きく、だいぶ老いた
桜の木の下で
淡い紅色に染まった花びらに
包まれて
静かに熱い涙を流し
あの頃に
別れを告げた僕が居た
by銀翼のキケロ