浮きて、沈めば・・・ | 梟霊のブログ

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とことん変り者なため・・・
絡み辛いこと必死
静かに、生暖かく見守ってください

浮きて、沈めば・・・



見渡せば
屍だらけの大海原
友の立影など
どこにもなく
見知った顔が
土を喰い
動かぬことの方が多く
生き残るものですら
笑うことも
泣くこともなく
空蔵と彷徨う次第
私は、ただ一本の槍に
この身を預け
近くとも遠くとも取れぬ
茂みへと幾度となく身を転じて
進み
隠れ
それが終わりとも知れず
槍のみを外へ向け
敵を待っておりました

初陣の思い出と共に
敵真っただ中に
突撃すること暫く
ただ、前だけを見つめれば見つめるほど
広く感じるものでありまして
ただただ、となりの友はいるだろうか
足音はあるだろうか
などと考えているのです
勢いに任せた声の波に乗り
擦違う敵の喉元を切り裂いて
先陣の主の背を追いかけておりましたところ
いつの間にか
天を仰いでおりました
手足とも冷めて
痛みとも何とも言えないもどかしさばかりが
生きているか、生きているかと
頬を切りよく叩くのです
あぁ、腹の上の骸の重い事・・・
愚かにも
恐怖に打ち負けて
永遠とも思える時の大半を
過ごしておりました

太平の世とは言うものの
見知らぬ人の奇異なる目に晒される我が身は
戦場とは変わらぬ緊張感に在り
あの時、立ち上がっていればと
後悔ばかり
この眼を閉じれば
鮮明に浮かぶ戦場の光景
この身を切り刻むことよりも
この心が蝕まれることの方が
何よりも、辛いものとなりまして
私が、私として
あと幾時、生きて往けるのか
判りませんでした

あの太陽が
浮きて、沈めば・・・
明日の今
繰り返しては
襟を正す
反省しては
帯を締め直す
その当たり前が
何よりも惨めでありまして
錆びついた刀を抜いて
耳の奥にこびり付いた
懐かしい居場所に目がくらみ
あるべき姿へと
振り抜いた
痛みより、苦しみよりも
安堵が勝る瞬間
一時に、何ほど感謝したことだろうか
どれほど救われたことだろうか
だからこそでありましょう
事切れるその時まで
私は・・・
笑い、笑っておりました






by銀翼のキケロ