新世界
何もない
何もなかった
何もかも、消え去っていた
絶望の大地
素晴らしい歌も
素晴らしい音楽も
降り注いでも
降り注いでも
僕の心には
染み込むことはない
落ちては、堕ちては
表面を削り
荒々しい姿へ変えていく
何もない
何もなかった
何もかも、失っていた
失望の大地
素晴らしい風景も
素晴らしい絵画も
照らしても
照らしても
僕の想いには
眩しすぎて見上げることは叶わない
こそこそと、ひそひそと
暗がりばかりを渡り歩く
何もない
何もなかった
何もかも、消え失せていた
忘却の大地
素晴らしい人々も
素晴らしい時間も
僕の魂には
映ることも、響くこともない
俯いたまま
誰かの影を
踏み続けた
何もなかった
確かに
何もなかった
乾ききった大地には
幻のみがゆらゆらと彷徨い
一人の人間を壊していた
如何に言葉を紡いでも
綺麗事とあしらう
幾ら背中を押したところで
一向に、進む気配すらなかった
諦めという文字が
大きく
深く
焼き付いていたからだ
なのに・・・
その日は訪れた
灰色の世界は
蒼く、碧く、青く
塗り替えられて
同じ風景、同じ時間
同じ人、同じ世界が
初めて見る世界の様に
想えた
素晴らしい
心の底から湧き上がる感動
どうして
どうしてなのだろう
この戸惑いですら
感謝に変わる
あぁ、この素晴らしき新世界よ
お前は、今までどこに隠れていたのだ
あぁ、この愛おしき新世界は
今までどこに潜んでいたのか・・・
まるで自分が自分ではないような高揚感に包まれて
新しい僕
いや、私へと生まれ変わった
心に在る砂漠はもう無い
在るのは、広大なまでの自然そのもの
その中心には、巨木が聳え
もう一人の私が
穏やかに、にこやかに
佇んでいた
by幻想師キケロw