堕天と昇天の立体交差
始まりが在れば終わりもある
エンドレスストーリーなんて
終わらない物語というものなんて
在りはしない
在ると言い切る人は
おそらく何も見えてはいないのでしょう
その節目を
良いですか?
物語とは、一度終えてまた始まりだす
同じ物語などないのです
続いているようで
実は、別の物語
人一人の人生は、一回きりですもの
永遠に続くことは、無い、のです・・・
一人、どこかの丘なのか
そんなところに寝そべって
誰かの理論を、無理矢理聞かされていた
我に返り
飛び上がってみても
知らない場所
薬指に輝いていたはずの指輪もない・・・
思い返そうと必死に、探すのだけれども
結局は、思い出せず
途方に暮れる
抜け落ちた記憶の前なら
鮮明に覚えている
瞳に蒼い空を映す貴方
瞳に、私の笑顔を映してくれる貴方
ともに笑い、ともに生きた時間
温かく胸の中で輝いていた
逢いたい
会いたい
遇いたい
その想いが
足へ伝わり
駆けだした
抱きしめたい
確かめたい
見つめたい
その願いが
貴方の名を呼ぶ声となる
風を切り
咲き誇る花々を蹴り散らかしてまで
どこまでも
走る
なのにどうして・・・
沈まぬ太陽
終わらぬ大地に
変わらぬ風景
いつまでも
いつまでも
延々と続く
焦りがいつしか
不安に変わる
それは
積もり積もって
私の心を押しつぶしてくる
私は、どうなった
私は、どうしてここに居る
疲れもしないのに
息は上がる
鮮やかな思い出が
次第に色褪せる
モノクロになるころに
私の足と声は止まり
冷ややかな汗と
信じたくない涙が交差する
そう・・・
私は死んだのだ
彼一人残して
私だけ、死んだのだ
思い出せない空白
誰かの優しさを感じずにはいられない
受け入れる強さも器も
未だ、無い、私には・・・
きっと
きっと
耐えきることもなく
消えてしまうから
逃げ出してしまうから
目の前に、掌を置いてくれたのだ
この場所で
動かないものが二つある
太陽と私
雲も、花も動き変化する
影ですら
どういうわけか回っている
蹲ってから
どれだけの時間が経ったのだろう
幾度も、幾度も、思い返すことしかできない
貴方の笑顔
貴方の声
貴方の温もりと、何気ない仕草
じんわりと覆うたびに
涙がそれとなく流れ出す
繰り返す小言は
決まって、逢いたい
唯それだけ
あぁ、逢いたい・・・
逢いたい
逢って抱きしめたい・・・
啜り泣く声は、風に乗り
どこまでも、どこまでも
流れていく
貴方は今、どこで何をしているのでしょう
何所で、どうしているのでしょう
強い人だから、前を向いて
歩いているころでしょうか
泣き疲れて
想い疲れて
くなくなと横になる
せめて空が、星に覆われていたなら
安らかに、穏やかにもなれたのに
太陽は、ずっとそこで見守り続けている
まるで私が、立ち上がり
再び歩き出してくれるのを
信じているかのよう・・・
希望に満ちて
勇気に溢れ
温かさと強さを携えたまま
ずっと待っている
声、声が聞こえた気がした
変化が乏しいこの場所で
微かに零れる暗い小言
けれども、聞き覚えのあるもの
不意に、頭を持ち上げた
いつの間にか広がる湖
その水面すべてに
一つの教会が映し出され
青白く照らし出されていた
その中に、項垂れる貴方の姿
あぁ、あぁ!
嬉しさで涙が再びあふれ出す
両手で顔を覆い
なんどもなんども確かめて
貴方の名前を、呼んだ
私はここよと叫んだ
けれども
聞こえてきた声は
まるで彼ではない
気持ちの悪さ
鋭く黒い憎しみ
見たことのないそれを
どうやっても
昔と重なることが無かった
”
お前は、神の何を知り、何を見た
お前は、人の何を見て、何を知った
私は知っているぞ
お前は、なにも見ていない、見てすらいない
”
違う・・・
”
虚言にまで縋り付いてまで
なぜ、生を諭す
貴様の下らぬ夢が、今、紅で染まり切っているではないか!!
”
違うの・・・
”
何が平和だ!
何が調和だ!!
何が安寧で、何が平等だ!!
夢を見させるのもいい加減にしろ!
”
そうじゃないの・・・
”
その救いようのなさ
その愚かさ
お前の声は、苦痛以外なかっただろうに
お前を象った人形は、無様に崇められているぞ
ざまぁ見やがれ!!
”
そんな・・・違うのに・・・
誰よりも愛し
誰よりも慈しむ心は
誰よりも強かったものを
簡単に壊してしまっていた
硝子の様に
脆く、危うく
天に見せつけた指輪には
銀色の輝きを打ち消すほどに
なにかがこびり付いていた
彼は彼ではなくなった
貴方は、貴方でなくなった
私がそうさせたの?
私が、貴方を壊してしまったの?
誰かの手が
そっと離れていくのを感じた
津波の様に押し寄せてくる記憶
そうだったのかと
ようやく理解した
太陽は、待ちわびたかのように動き出し
世界を取り戻せと囁きかける
私は、私のまま
私の大切なモノを取り戻す
例え貴方を、失うことになったとしても
貴方を、誘ったかのものを許しはしない
決して
許しはしない
失われたモノを取り戻し
全てが一つとなった時
堕天と昇天の立体交差で
私たちは、見つめ合った
私を私とは判断できない貴方は
躊躇いもなく襲い掛かる
人の言葉も、理性も失って
力の限り拳を振り上げてくる
憎しみと怒りが
黒い炎を纏って・・・
私には、躊躇いがある
あの悲しいまでの姿に成り果てて
それでも尚、私の指輪を身に着けて
紅い涙で頬を濡らしながら
生きながらえてここまで来た
未だその中に
私との日々を閉じ込めているのでしょう
例え、その意味すらも忘れてしまっても
大丈夫
私が覚えています
私が理解していますから
どうか、安らかに眠れますよう
この手で、貴方を葬ることを
許してほしい・・・
雲と大地の狭間で
人としての時間を終えても
私たちは戦い続けた
貴方はたった一人で
私は、どこからともなく駆け付けた
友と家族と、人々と共に
切り刻まれても
打ち砕かれても
なんどでも、なんどでも
立ち上がり
立ち向かう
貴方に、応え
貴方を倒した
貴方の弱点は、指輪
壊そうとすれば
砕かれそうになれば
それを庇い
動きを止めた
その光景は、嬉しさと悲しさを
私に湧き上がらせる
同時に、悔しくもあった
何度見ても、心地よいものではない
時間が光速を越えた世界で
一心不乱に、想いの全てをぶつけ合う
時々思う、私たちは一体何と戦っているのだろうと
終わらない物語はない
いつか誰かの言葉だ
貴方から指輪(それ)を奪う
いつかの湖で眺めたものだ
裏には、私の名前が刻まれている
形相を変え、必死に取り戻そうと足掻く
砕かれては再生をすることを繰り返した貴方
最早、昔の面影などない化け物だ
終わりにしよう
貴方と私の戦いを
突き放した
落ちていく
だが、眼だけはしっかりと見つめていた
それを
天にかざし
燃え上がるさまを見せつけた
大地に叩き付けられても
やはり立ち上がる
悲しみと怒りの雄叫びが私たちを包み込む
一歩、また一歩
踏み出してくる
一人が槍を投げ入れた
差し込んだ光を浴びて黄金に輝きながら
真っ直ぐに彼の胸を貫いた
一人、また一人
投げ込んでいく
それが波の様に広がって
ここに集う数億を超えていた仲間達が
彼にめがけ放り込んでいく
その光景は黄金の雨が降り注いているように見えた
幾億の槍に貫かれ
それでも未だ衰えることを知らない
彼の殺意
けれども、動けない
理由を失って
私を失って
指輪も失った
幾ら猛獣でも、向かう意志が切れてしまえば
強敵には成り得ない
恐怖すら覚えたその執念に
私は感謝を込めて
雲を払い除け
太陽の下
炎を彼に与えた
苦しむ様子はない
じっとその光の先を眺めたままだ
次第に炭化し
徐々に灰となっていく
それでも、その瞳に、太陽と青い空を映し続ける
あぁ、愛おしい貴方
私の死が貴方を苦しめてしまった
なのに私は、貴方を殺めなければならなくなった
止めなければならなかった
変わり、変わり、変わり果てていく貴方を
これ以上、見たくはなかった
全てが灰になった
仲間たちは天上へと帰っていく
貴方を見つめる私を残して
大地へ降り立ち
ゆっくりと歩み寄った
静かだった
あまりにも静かで穏やかな世界
あの頃に戻ったかのよう
ねぇ、そうは思わない?
風が、ふっと灰を飛ばした
疲れたかのように笑う貴方の顔が目に浮かんだ
きらり
何かが私の目を眩ました
一本の槍の隣に
銀色の一部が灰の中から顔を覗かせていた
屈み込み
恐る恐る
手を伸ばし摘み出した
もう一つのそれが、貴方の名を刻んだそれが
在った
私は、それを薬指にはめて
胸の中へ手を放り込んだ
抱きしめるように・・・
耐えて来た
耐えて、耐えて
ここまでたどり着いた
もう、泣いてもいいよね
蹲り、泣いた
大声で泣いた
涙枯れるまで泣いた
太陽は、それをじっと見守り
背中をさすってくれた
私が泣き疲れ、その場で横に倒れると
ゆっくりとその光を隠し
晴天の夜空を、私に与えてくれた
朧げな意識の中で
その星空は
最初で最後の安らぎだったかもしれない
再び目を覚ませば
私は、剣を携え
小さくなった彼と、世界を歩んでいた
彼を暗闇に引きずり込んだ
かのものを打ち倒すため
次なる私を、創らぬため
一点の迷いなく
進む
恐れることはない
暗闇とは、月夜の静寂とは程遠い
暗闇とは、星空の安らぎとは程遠い
人としての全てを否定する存在である
見る見えないにかかわらず
触れることができるかできないかにかかわらず
現実から最も遠い場所に追いやる者たちだ
さぁ、行こう仲間達
この叫びを、打ち払いに
この想いを伝えに
進み続けるのだ
あの輝きと共に
by幻想師キケロw
題材は、まぁ、気が付く人は気づくと思うけど
ミカエルとルシフェルです。キリスト教が材料かな?
私は、無宗教ですけど、そういう伝説神話の類は大好物なのですwwww