再進
私は、待ち続けた
暗がりから、君が抜け出るその時を
私は、待ち続けた
絶望から、君が立ち上がるその時を
遠い遠い場所で
絶壁の道を歩いていた
不意に
君の声を聴いた
居る筈のない人の声
居る筈のない君の声
覗き込めば
どういうわけか
かつて、私が居た底辺に
泣きながら叫んでいる影が在った
私は叫び返す
それからだ
私は、知っている限りを与え
私は、諦めぬよう応じ続けた
いつかきっと
この場所で会えると信じて
待ち続けた・・・
けれども
雨に耐え
風に耐え
暗闇に耐え
退屈に耐えても
その声は近付くどころか
遠のいていった
私はこんなに苦しいの
私はこんなに不幸なの
其ればかり
何時になれば
這い上がるのか
何時になれば
進むのか
私には、ある不安がよぎる
この子は、甘えているだけではないのか
この子は、逃げ続けているだけではないのか
この子は、端から登る気などないのではないのか
私が居なくとも
代替(かわり)を見つけては
同じことを繰り返しているのではないか
と・・・
なんど首を振ったことだろう
なんど首を、振ったことだろう
だが
信じることが
不信へと変わるとき
私は、今までの想いを怒りに変えてぶつけた
ぶつけてしまったと言っていい
一人勝手に夢を見て
一人勝手に裏切られた
そう、言ってもいい
あぁ、私は、やはり愚か者だ
同じことを、何度繰り返せば気が済むのだろう
なんど信じたいという希望に縋り付くのだろう
やはり進むべきだったか
あの時に!!
時は、有限
待つことも進むことも自由だ
そして留まることも・・・
私は、待ち続けることができなかったと言えば
そうなる
だが、待ち続ける時間もないのも事実だ
私は、後悔などしない
切り捨てる覚悟もある
都合のいい夢を
現実に変える力など
この両手にはないのだ
君の顔が裏切者と訴えたところで
優しさに、甘え続ける心がある限り
私は振り向かない
なぜなら
この足は、再び進むことを選ぶのだから
また会おう
その台詞があるのは、本の中だけだ
与えられたチャンスを捨てる
そんな者を待つほど
世界というものは
人生というものは
世の中というものは
優しくは、ないんだよ?
そして、同情ばかりで傷のなめ合いばかりしていると
本当に助けてほしい時に、誰も手を差し伸べはしないさ
どうしてかって?
君がその場所から動かないことを
知っているからだよ・・・
by幻想師キケロw