誰も知らない
待っていても
時計の針は、足踏みばかり
待ち続けていても
暗闇と静けさは
一層深まるばかり
覗く、玄関の扉は
頑なに閉ざされて
私一人が
テーブルと向かい合い
一輪の明かりの下にいる
愛する人の声は
遠い昔に
愛おしい人の笑顔は
遠い夢の果て
いつからだろう
気が付いたら
これが当たり前で
声すら出ないまま
寂しく零す涙に
パジャマを濡らした
近所の人々は
幸せそうって羨ましがるけど
この時間の虚しさなんて
誰も知らない
でもね
一つだけ愛を感じる時があるの
目覚めた時
独りなのだけれども
敷いてもいなかった布団の上に
横になっていて
ふと、片方の手のひらに
それまで誰かがいた温もりが在る
見渡せば
貴方はいないのに
確かにここに居て
一緒に、一時を過ごしてくれた
そして決まって
枕元に
晩飯、ご馳走様と置手紙がある
あぁ、まだ私は
一人じゃない
一人じゃないんだなって
安心するんだ
by幻想師キケロw