人影
朝、雪はまだチラついていた
強くもなく
冷たくもない
ただ、ふわふわと
ふわふわと
なにかの想いに更けるかのように
ゆっくりと落ちてくる
青空に
遠くから昇る太陽
雲の影が
一直線に、手を伸ばし
夜の裾を掴んでいた
私は、仲間と共に
雪原を走る
走る
走る
滞りなく伸びる白い吐息は
掻き消されることなく
留まり続け
人が人のまま
蒸気機関車にでもなったかのようだった
一分一秒を争う
仕事の中で
ふと、手足を止めて
見渡せば
とあるところに
在るはずのない人影が
ずっとずっと高い場所で
手を広げ
誰かに手を振っていた
私は、振り返る
まだ、そこには月が在り
町明かりが在り
私たちの蠢く影が
伸びているだけだった・・・
静かすぎる
静寂
風もない
穏やかな朝
羽のように舞う雪に
どこか悲しみを覚えた
作業を終え
そこから引き上げるころ
今一度あの場所を見た
だが、もう人影はなく
太陽だけが
ギラギラと
ギラギラと
騒々しく輝いていた・・・
じんわりと届く
温もりと共に
by幻想師キケロw