ふくろう
彼は闇世で頷くばかり
ほうほう
ほうほう
ほうほう、と・・・
迷い込んだ森
出口を探しても
出口が何なのかわからない
来た道を戻っても
入口がどこだったか覚えていない
独りぶつくさとつぶやくと
一つの枝に止まる
彼が
うっすらと目を開けて
ほうほうと
ほうほうと
鳴き出した
私が一つ
愚痴を零せば
ほうほう
私が二つ
愚痴を零せば
ほうほうほう
私が怒号を上げても
ほうほうほうほう
私が悲しく話しても
ほうほう、ほうほう
馬鹿にしているのか
親身になっているのか
まるで分らず
久方ぶりに上を見た
金色の彼の瞳に
大きな
大きな満月が
蒼々として広がり
溢れんばかりの優しさを
注いでいた
夢なのか
現実なのか
まるで分らない
この森で
初めて美しいと思えた
感動を覚えた
思わず零れた
本音に
彼もまた
嬉しそうに
ほうほう
ほうほうと
鳴き出した
全く、このふくろうは
喰えないやつだ
いつの間にか
私は笑って
彼の隣に座っていた
そんな彼は
鬱陶しそうに
身震い一つした後
丸く
丸く身を縮め
ぴとっと
温い小さな体を
寄せて来たんだ・・・
by幻想師キケロw