蒼月
迷い込んだのは
人の世界ではなかった
崩れゆく人の世は真逆で
永遠に留まり続ける
幻想の中
幻想の、中・・・
水辺に遊ぶ月の影
季節外れの鈴虫が歌う
夜光虫が舞い
空蝉が演じた
誰も知らない
森の果て
冬の始まりを告げる蒼月
どこまでも澄み渡る空
全てが大きく映し出され
落ちてくる
そう感じてしまう
一瞬の静寂ののち
草木が揺れる
あの天に向かって
喝采のごとく
あぁ、言葉にもならぬ美しさ
あぁ、文字にもならぬ優雅さ
溢れる光とは
街並みのそれよりも
闇世に顕れるのか・・・
零れ落ちる涙とは
感情よりも
先に落ちるものなのか・・・
知らぬ、知らぬこの景色
私もまた
ただ一本の樹に成り果てた
by幻想師キケロw