永劫
へいたいさんにてをふった
へいたいさんがわらった
へいたいさんがながれた
へいたいさんのせなかはおおきくて
へいたいさんのせなかにあこがれた
わたしは、母にたずねた
へいたいさんはどこいくの?
母は、おまえもりっぱなへいたいさんになって
おくにのためにむねをはってたたかえるおとこになりなと
わけのわからないことばをきかせ
わたしをやさしくだきしめた
ところが、母の目には
涙しかなかった・・・
穏やかな日々も
穏やかな時間も
いつもどこからかきこえてくる
ばんざいのかけごえにじゃまされた
このころのわたしは
へいたいというものにぎもんをもち
へいたいというものをどこかさけていた
あのひみたなみだが
わたしのいしとはかんけいなく
そうさせていた
それでもそのひはおとずれる
母の手にあるその紙は
まさにその証だった
兵隊さん
兵隊さん
兵隊さん
誰と戦っているの
耳の奥底で、私に囁く
幼いころの自身の声が
重くのしかかる
倒れ逝く仲間を気遣う暇もなく
突撃の合図で
駆けるのみ
あの日の憧れを返してほしかった
あの日の温もりを返してほしかった
浴びるのは銃弾と血潮と爆撃で舞い上がる土
水を浴びで無邪気に駆けたころ
太陽というものは心地よいものだと思っていた
だが、今は・・・
憎らしいものでしかなかない
終焉
それがどれだけ私を救ったことだろう
終局
それがどれだけ私を砕いたことだろう
そして、生き残ってしまったことを
どれだけ悔いたことだろう
どうせなら、
仲間と共にと思う、日常の始まりだった
どうしてあんただけと責められる、日常の始まりだった
里に戻っても笑顔はない
挨拶しても、返事はない
それどころか、石すら飛んでくる
懐かしい家に足を踏み入れ
いくらただいまと叫んでも
暗がりの部屋で微笑む母は
過去の人
誰も私を抱きしめてはくれない
誰も
誰も私を、歓迎してはいなかった
そこには未来永劫の繁栄というものもなく
ころころと坂道を下る現実のみがあった
救われた気がしたのは一瞬
罪悪感だけがおぶさって
泣いている
私は
いったいなんのために生きているのか
ぼろぼろの書物を読み返し
空に居る母に問いかけた
昔々に駆け回った
あの広い道は
今はもう、草木に覆われて
細い、細い獣道
誰もそれが道だと気が付かないほどに
鬱葱として
私の行く手を遮っている
諦めを含んだ軽い笑いが
虚しく響くばかりでした
by幻想師キケロw