焚火
いてつくまもなく
よぞらへあけわたすとおくのほのおは
むかしむかしのわたしの
こころのふうけいであります
ゆきなのか
ひのこなのかすらわからず
なきじゃくり
のどのいたみなどわすれて
ははのかたとうしろのかみにあごをはさめて
せなかにはしっていることを
いまでもおぼえております
いくつものくろいかげが
じかんはずれのゆうやけのなかをとび
からすよりおそろしいこえで
てんをうめつくしました
にいちゃん
ねえちゃん
おとう
おかあ
それぞれにこぼれおちるなみだ
きのうのさようならは
きょうというひにたいしてなのか
いきのびたきょうこのごろ
かんがえるしだい・・・
ですが、そこにこたえというものはなく
ひたすらに
じかんをたれながすばかり
しょうじき
わからないのです
おともなく
くいものもない
うすでのもめんにみをつつみ
じしんでもないのに
がたがたとちいさなからだを
めいっぱいふるわせておりまして
母は、ちいさなひのこだけをのこし
はしっておりました
てのひらのまんなかだけがかすかにあたたかい
こころゆくまであたたまることもできず
しあわせというまぼろしのなかに
わたしのりょうのめはしずんでいきました
きがついたころ
母が、ひっしにからだをゆらし
ほほをたたいておりまして
さきのひのこも
ぱちぱちとこえをあらげ
あたたかななにかをさしのべていました
あぁ、なんとうつくしいいろだろうか
あぁ、なんとあたたかないろだろうか・・・
さむさをはねのける
おおきなてのひらと
焚火の輝きは
幾十数年生きようと
この魂のやみをてらしつづけておりまして
きぼうとよべるものとなりました
しかしながら
てをつなぎあったひから
としをおうごとにべんりになりまして
しだいにひとというものもさめていきました
なんともいえないさみしさと
なんともいえないむなしさだけは
いくらあのひのほのおといえど
あたためることは、できそうもありません・・・
ですから
へいわとよべる
いまのよのなかは
わたしからいわせてもらいますと
つながりがなく、にげまどうせんじょうと
なんらかわりのないものにおもえるものです
by幻想師キケロw